両手いっぱいの花束をあなたに
「ハイスペックかどうかは分からないけど、一条 美緒よ」
「美緒と、双子の弟のつっくん…一条 勉は、私の親友なんだ」
私は、軽く颯に説明する。
「花音先輩の親友?なら、挨拶しないと!」
颯は、ゆっくりと私を地面に降ろすと、美緒にガバッと頭を下げた。
「え、え??」
美緒は目を見開いて、颯を呆然と見つめる。
「花音先輩とお付き合いさせてもらってます、この間は連れ去るみたいな形ですみませんっした!幸せにするんで、花音先輩を、俺にください!」
この前って、きっと、私と颯が初めて一緒に帰った日だ。
動揺している美緒に、気づいていないのか、颯はまるで、両親に結婚の許しを乞うような挨拶をした。
「いやいやいや。お前、なんでそーなる!」
ーパシッ!!
「え?」
篠田くんに頭を叩かれた颯は、首を傾げた。
やっぱり、颯は気づいてないみたい。