両手いっぱいの花束をあなたに


「うし、そこで…シュート!」

「うん、よいしょ!」


颯に促されるまま、ボールを投げると、まるで吸い込まれるように、ゴールに入る。


ーポスンッ


そして見事、シュートを決める事ができた。

「わ、あ……やった、やったよ、颯!」

「さっすが、花音先輩!」


そう、言って振り返ると、すごい至近距離で颯と目が合った。


「っ!!」

「か、花音先輩っ……」


あまりの近さに、颯も固まる。

そして、お互い顔を真っ赤にして、俯いた。


「お前等、小学生か!」


「し、仕方ないじゃないっすか!花音先輩と目が合うと、もうどうしていいか分かんないんすから!」


颯は、「変な汗かいた」と言って、ユニホームの胸元を掴んで、首筋の汗を拭う。


その瞬間、持ち上げられたユニホームの下に、割れたたくましい腹筋が見えた。


「っ!」


わ、わぁっ……。

やっぱり、鍛えてるんだなぁ。

颯、私の事軽々と抱えてたし……力持ちなんだ。

暑くなる顔を冷ますように、私はパタパタと手で顔を扇いだ。






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