徒然飛花前線
顔を覆い隠して転がる暖斗をつついて遊んでいたら、生徒拘束終了の鐘の音。
「あ、チャイム鳴ったよ暖斗、昼休みだよー」
「うん……」
横腹をつついて知らせてあげると、ようやく回復したらしい暖斗がのろのろ起き上がった。
「はあ……」とため息。ため息の似合わない男だな。
「今日もお母さんの手作り弁当です」
「……俺も」
昔から一緒に料理してたらしいから、わたしたちふたりのお弁当は似てる。
タコさんウインナーにハート型の卵焼きに塩味のからあげにパンダの顔したごはん、エトセトラ。
「ていうか俺思ったんだけどさあ」
「なに?」
教室にもどったら今日もまた友達に授業さぼったこと怒られながら、お弁当かわいいねって言われて乙女なわたしはにやにやしながら、ウサギのリンゴも食べきるんだろう。
たぶん暖斗も、お前弁当かわいすぎかってみんなにツッコまれながら。
「俺、陽和のこと好きなのかな」