徒然飛花前線
なんの悪戯か、心拍数はぐっと上がって口からは曖昧な笑い声がこぼれて。
「幼い俺のこと笑ってらんなくなるかも」
「いやいやいや、待っ、いやいや」
「昼いっしょに食う?」
「えっそんなグイグイ来るもんなの? 急に? マジで? マジか?」
ふわりと舞った桜の花びらがわたしたちを包んだ。
差し込んだ陽気がふたりを照らして、あれ、なんか暖斗がキラキラして、見え、……えっ。
「……しげきがほしいとは、言った、たしかに、でも」
いつか愛しく思い出せる日が来るという
想像もできないけれど、
変わり映え しないようなするような春の日
また、こんな1日を。
────────徒然飛花前線【完】.