徒然飛花前線
うそでしょ、本当に?
出会っちゃうわけ? ここで?
散った桜におちた影が、こちらを見おろす気配を感じて。
「…………っ」
息をのみわたしはパッと。その人物を見上げた。
目が合った。
─────わぁ、
わたしのレンズの先には風にくすぐられる茶色の髪。視界のよさそうな前髪の間からは、驚いてきょとんとした二重の目。油断していても形のいい口元。
ベージュのカーデに緩んだネクタイ。ワイシャツの襟はあそんでいる。
春の陽気をあびてきらりと光るその姿には、よく、
「…………おっまえかい…………っ」
よーーーーーーく、見覚えがあった。
「は?」