徒然飛花前線
突如がっくり肩を落とされて大きなため息をつかれたその男は、でも、効果音がつきそうなほどにぱっと笑ってみせた。
「陽和(ひより)じゃん。何してんの授業中に」
「アンタこそ何してんのよ……」
「俺はー。春好きだし天気いいし、さんぽ?」
「へー」
またしても能天気に目の前に座り込んだ男、もとい暖斗(はると)、もといわたしの腐れ縁の幼なじみは、そう言って頭上の桜たちを見上げた。
「散ってきちゃったけどさー」
風と木々のゆらぎに合わせて桃色の花びらがひらりと舞う。
暖斗の頭に着地。
せっかく授業出ずにここにいたのに結局こいつとひなたぼっこか。
クラスが離れているくせに学校での遭遇率が異常に高いのはもう、腐れ縁の成せる技なんだろう。
縁てすごい。おそろしい。
「で、何してたの陽和は」
「うっ……」
「なにその反応」
あからさまに肩を震わせるわたしに1ミリの悪気もなさそうな笑顔で首をかしげる暖斗。
なんだよもーほっといてくれよーーー。