徒然飛花前線



なんて渋ったところでこの男が疑問を放り投げるはずがないことなんて知っているからため息をひとつ。体育座りで。

いいよどうせ暖斗だし。

笑いたきゃ笑ってくれ。



「春だから運命の相手待ってた」

「…………へー……?」

「ら、アンタが来た」

「えっ。……人違いです」

「うるっさい! 激しくこっちのセリフ!!」



笑ったままの表情で焦るな!
いっそ笑って! きょとんとしないで笑って!!

がばっと顔を上げてシャツの襟をつかんで暖斗の首を締めあげる。「あははギブ、ぶはは」ってなんでそんな余裕そうなんだ。


「あー動いたら暑くなったなー! あー!」


パタパタと自分の顔を手で扇ぎながら。

なんっでお前が来ちゃうんだよいや別に本気で期待してたわけじゃなかったけど運命の出会いとか!



「陽和って心だけは乙女だよなー」

「だまらっしゃい!」



ハハハ、と襟を直しながら言う暖斗にまたひとつ噛み付いておく。このやろ、いつものほほんとしおって!

そりゃあ乙女だよ、女子は全員!



「……て、ていうか別に、マジで本気で待ってたわけじゃないからね? 運命の人とか……」

「照れんなってー」



日本語が通じない!



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