徒然飛花前線
春だからこういうのもアリかなって、ちょっと感傷的になってみただけというか。
これで本当に誰かと出会えちゃったらお得じゃーんって思っただけというか。
その実、こんな天気のいい春の日にただイスに座って日本史の授業を聞き流すなんてもったいない!って思っただけで。
小春日和に小春空。
ひつじ雲の下で桜に包まれてぼーっとする、なんて充実感で満ちているのか。
「高2だねー」
「なー」
「後輩が入ってきたねー」
「ずっといちばん下がよかったなー」
「ねー」
ずっと「1年生だからしょうがない」って甘やかされていたかったねー。
この幸福感あふれる空間で、隣にいて違和感がないのも、自然と会話がつながるのも全部、腐れ縁たる所以だろう。
「春だねえ」
「平和だねえ」
「つまんないねえ」
「刺激ほしいなー」
「あー分かる」
何も考えずに会話はつながって、まぶたが落ちそうになったとき、わたしの脳はある出来事を検索していて。
ははん、お返し。
「アンタはあるでしょ、刺激」
「えー? なんで?」
「1年生の女の子に告られてたじゃん」
「あぁー」
冷やかしてあげようか、“暖斗先輩”。
見たよたまたま。放課後、校舎裏、呼び出して告白。完璧なシチュエーション。