ばくだん凛ちゃん
8.凛ちゃん 保育園へ行く
◆ ハル ◆
透が紺野総合を退職すると言った時。
私の中でどこか罪悪感があったのは間違いない。
きっと私の妊娠がキッカケだ。
だだ…それを聞いたのは7月に入ってから。
病院には少し前に伝えていたみたいで私には随分後だなあ、なんて少し拗ねそうになった。
「透もそれなりに考えて動いているからあまり責めないでやってね」
生駒医院でお兄さんと休憩時間に雑談をしていると思わず出てしまって、そう言われた。
「まあ、ハルちゃんの事を考えて言わなかったんだろうけれどね。
今のハルちゃんに不安を抱えさせてくなかったんじゃないだろうか。
多少なりとも収入や生活スタイルも変化があるし」
「それなら余計に教えて欲しかったですよ」
私が頬を膨らませるとお兄さんはそうだね~、と言って微笑んだ。
「透の事だから今よりは酷くなることはないと思うよ」
確かにそうだけれどね。
「ところでハルちゃん、例の件、考えてくれた?」
私は頷く。
お兄さんは透が8月からここの常勤になるから私も一緒に正式に入って欲しいとの事だった。
とはいえ、フルタイムではなく週3~4で6時間くらい。
また体調の事もあり、今後の事を考えて凛を隣の保育園に一時預かりで預けてみたらどうか、という話がある。
「保育園、早くないですか?」
お兄さんは腕組をしてしばらく考える。
「早いといえば早いし遅いといえば遅い」
そう言ったお兄さんはテーブルをコツン、と叩いた。
「ハルちゃんがやっぱり働くのは嫌だ、家にいる!って言うなら保育園は必要ないと思う。
でも…ここで助けてくれるなら来年の入所申し込みはしておいて欲しい。
働いているスタッフも保育園に預けて来ていて、不公平に繋がるといけないから」
あ…そうだよね。
透がここに来るというのも相当な覚悟で来ているはず。
私も多少なりともお給料は貰うからそりゃそうだわ。
「勿論、今年は入所なんて無理だから一時保育だったり、寂しければここで。
でもここは病院だからね。
感染が怖いよ、正直」
…やっぱり保育園が必要だわ!
「そうですね、申し込んでおきます」
そう言うとお兄さんは満面の笑みを浮かべて
「ありがとう、ハルちゃん!」
その笑顔はまるで透。
少しだけ、ドキッとしてしまった。
10年後、透もこんな風になっているのかな。
私の中でどこか罪悪感があったのは間違いない。
きっと私の妊娠がキッカケだ。
だだ…それを聞いたのは7月に入ってから。
病院には少し前に伝えていたみたいで私には随分後だなあ、なんて少し拗ねそうになった。
「透もそれなりに考えて動いているからあまり責めないでやってね」
生駒医院でお兄さんと休憩時間に雑談をしていると思わず出てしまって、そう言われた。
「まあ、ハルちゃんの事を考えて言わなかったんだろうけれどね。
今のハルちゃんに不安を抱えさせてくなかったんじゃないだろうか。
多少なりとも収入や生活スタイルも変化があるし」
「それなら余計に教えて欲しかったですよ」
私が頬を膨らませるとお兄さんはそうだね~、と言って微笑んだ。
「透の事だから今よりは酷くなることはないと思うよ」
確かにそうだけれどね。
「ところでハルちゃん、例の件、考えてくれた?」
私は頷く。
お兄さんは透が8月からここの常勤になるから私も一緒に正式に入って欲しいとの事だった。
とはいえ、フルタイムではなく週3~4で6時間くらい。
また体調の事もあり、今後の事を考えて凛を隣の保育園に一時預かりで預けてみたらどうか、という話がある。
「保育園、早くないですか?」
お兄さんは腕組をしてしばらく考える。
「早いといえば早いし遅いといえば遅い」
そう言ったお兄さんはテーブルをコツン、と叩いた。
「ハルちゃんがやっぱり働くのは嫌だ、家にいる!って言うなら保育園は必要ないと思う。
でも…ここで助けてくれるなら来年の入所申し込みはしておいて欲しい。
働いているスタッフも保育園に預けて来ていて、不公平に繋がるといけないから」
あ…そうだよね。
透がここに来るというのも相当な覚悟で来ているはず。
私も多少なりともお給料は貰うからそりゃそうだわ。
「勿論、今年は入所なんて無理だから一時保育だったり、寂しければここで。
でもここは病院だからね。
感染が怖いよ、正直」
…やっぱり保育園が必要だわ!
「そうですね、申し込んでおきます」
そう言うとお兄さんは満面の笑みを浮かべて
「ありがとう、ハルちゃん!」
その笑顔はまるで透。
少しだけ、ドキッとしてしまった。
10年後、透もこんな風になっているのかな。