ばくだん凛ちゃん
「さすがに慣れてるねえ」
兄さんの嫁、桃子さんが感心したように言う。
「ありがとうございます」
桃子さんとは同い年だけど、僕はどうも気を使う。
たまに普通に話をするけれど、基本は敬語を使う。
「透さんは明日は?」
「休みです」
「良かった」
桃子さんの言葉の語尾に安堵感が広がる。
「…ご迷惑をお掛けして申し訳ございません」
ハルに聞こえないように桃子さんに伝えると
「いえいえ、透さんのため、はるちゃんのためですもん」
桃子さんはそう言うと右手でピースした。
僕が食事をしている間、父さんと母さんが凛を取り合いするかのように抱っこしていた。
ハルには僕の食事に付き合うように言って。
それが二人の優しさなんだろうな。
12月30日、ハルと凛が退院して、僕も夜中に家に帰ることが出来たけど。
ハルはその時、もうすでに疲れ果てていた。
朝、退院して家に帰ってから凛は泣きじゃくっていたらしい。
抱っこしても、何をしても。
その日はまともに会話も出来ず、2人で交互に凛を抱いて夜を過ごした。
少しでも会話できるチャンスがあるのは有難い。
「どう、少しは感覚がつかめてきた?」
僕は箸を止めた。
ハルの顔色が明らかに悪い。
「…赤ちゃんって全然寝ない?」
「はい?」
思わず聞き返した。
「18時間くらい寝てるんじゃない?その子にもよるだろうけど」
「凛、寝ないの」
「はい?」
ハルの目が虚ろだ。
「昨日も抱っこしたまま、何度か授乳してたら朝になってた」
「全然寝ないの?」
「ウトウトはしているみたい。
でも、2人でいるときにまともに寝たのを見たことがない」
と言ってハルは母さんたちを見た。
「あんな風に、私以外の人が抱っこしていると寝るの」
「そこでぐっすり寝ているんじゃない?」
じゃあ、今、気持ちよく寝て貰ったら困るじゃないか。
と言ったところで相手はまだリズムも出来ていない新生児。
無理な話だ。
「お昼、凛と一緒に寝るしかないと思うけど」
そんな悲しそうな顔をしないでくれよ、ハル。
「まあ、明日は僕がいるから大丈夫だって」
呼び出しがないことを祈る。
兄さんの嫁、桃子さんが感心したように言う。
「ありがとうございます」
桃子さんとは同い年だけど、僕はどうも気を使う。
たまに普通に話をするけれど、基本は敬語を使う。
「透さんは明日は?」
「休みです」
「良かった」
桃子さんの言葉の語尾に安堵感が広がる。
「…ご迷惑をお掛けして申し訳ございません」
ハルに聞こえないように桃子さんに伝えると
「いえいえ、透さんのため、はるちゃんのためですもん」
桃子さんはそう言うと右手でピースした。
僕が食事をしている間、父さんと母さんが凛を取り合いするかのように抱っこしていた。
ハルには僕の食事に付き合うように言って。
それが二人の優しさなんだろうな。
12月30日、ハルと凛が退院して、僕も夜中に家に帰ることが出来たけど。
ハルはその時、もうすでに疲れ果てていた。
朝、退院して家に帰ってから凛は泣きじゃくっていたらしい。
抱っこしても、何をしても。
その日はまともに会話も出来ず、2人で交互に凛を抱いて夜を過ごした。
少しでも会話できるチャンスがあるのは有難い。
「どう、少しは感覚がつかめてきた?」
僕は箸を止めた。
ハルの顔色が明らかに悪い。
「…赤ちゃんって全然寝ない?」
「はい?」
思わず聞き返した。
「18時間くらい寝てるんじゃない?その子にもよるだろうけど」
「凛、寝ないの」
「はい?」
ハルの目が虚ろだ。
「昨日も抱っこしたまま、何度か授乳してたら朝になってた」
「全然寝ないの?」
「ウトウトはしているみたい。
でも、2人でいるときにまともに寝たのを見たことがない」
と言ってハルは母さんたちを見た。
「あんな風に、私以外の人が抱っこしていると寝るの」
「そこでぐっすり寝ているんじゃない?」
じゃあ、今、気持ちよく寝て貰ったら困るじゃないか。
と言ったところで相手はまだリズムも出来ていない新生児。
無理な話だ。
「お昼、凛と一緒に寝るしかないと思うけど」
そんな悲しそうな顔をしないでくれよ、ハル。
「まあ、明日は僕がいるから大丈夫だって」
呼び出しがないことを祈る。