ばくだん凛ちゃん
「遅くなってごめん」
病院の帰り、兄さんの家に凛を迎えに行った。
「あ〜!」
凛は僕を見て、笑った。
もうあと2ヶ月もすれば1歳。
段々出来る事も多くなり、そのうち意味ある言葉も出てきそうな感じだな。
「お父さん、お帰り〜!」
桃子さんが凛の手を振る。
「キャアアア!」
凛はますますテンションが上がって、喜んでいる。
「ハルちゃん、どうだった?」
兄さんの問いに僕は頷いて
「家で安静に出来る環境なら退院する事を許可しますって」
「そうか…。
それなら仕方がないね。
透は当分時短なり何なりで家の事も頑張るしかないね」
「すみません」
着任後、すぐにこんな羽目になるとは。
本当に申し訳ない。
「いいよ。
透が色々と目新しい事をするから他の小児科医が喜んでいる。
今までは自分の子供に何かあっても休めなかったから、透がいてくれるだけで安心だって。
男性がそうやって時短を使いながら仕事をしているのを見ると、自分達も万が一の時は不安を抱えなくて良いって言ってたよ」
ただ…
兄さんは深くため息をつく。
「医師にとっては良い方向性だけど、スタッフがね」
僕は頷いた。
兄さんの言いたい事がわかる。
昔からいるスタッフは僕や兄さんの方針に反発している。
「ごめんなさい」
その声の主を慌てて見た。
凛と遊んでくれている桃子さんがため息をつく。
「お父さん、スタッフのやりたい様にさせていたから…そのツケが今になってきたのよね」
兄さんは首を横に振って
「桃ちゃんが謝る必要はないよ。
まあ、僕もそんなに気が長い方でもないのでね。
また近々、病院の闇を清算する事にするよ」
兄さんは目で僕に合図を送ってきた。
桃子さんに気付かれないように頷く。
負の遺産が多すぎる病院だ。
ある程度、健全化するまでに時間が掛かりそうだ。
「さて、凛」
桃子さんに遊んでもらってかなりお疲れの凛を抱っこした。
「帰ろう」
凛は大人しく僕に抱かれている。
家に着く頃には熟睡しているかな。
病院の帰り、兄さんの家に凛を迎えに行った。
「あ〜!」
凛は僕を見て、笑った。
もうあと2ヶ月もすれば1歳。
段々出来る事も多くなり、そのうち意味ある言葉も出てきそうな感じだな。
「お父さん、お帰り〜!」
桃子さんが凛の手を振る。
「キャアアア!」
凛はますますテンションが上がって、喜んでいる。
「ハルちゃん、どうだった?」
兄さんの問いに僕は頷いて
「家で安静に出来る環境なら退院する事を許可しますって」
「そうか…。
それなら仕方がないね。
透は当分時短なり何なりで家の事も頑張るしかないね」
「すみません」
着任後、すぐにこんな羽目になるとは。
本当に申し訳ない。
「いいよ。
透が色々と目新しい事をするから他の小児科医が喜んでいる。
今までは自分の子供に何かあっても休めなかったから、透がいてくれるだけで安心だって。
男性がそうやって時短を使いながら仕事をしているのを見ると、自分達も万が一の時は不安を抱えなくて良いって言ってたよ」
ただ…
兄さんは深くため息をつく。
「医師にとっては良い方向性だけど、スタッフがね」
僕は頷いた。
兄さんの言いたい事がわかる。
昔からいるスタッフは僕や兄さんの方針に反発している。
「ごめんなさい」
その声の主を慌てて見た。
凛と遊んでくれている桃子さんがため息をつく。
「お父さん、スタッフのやりたい様にさせていたから…そのツケが今になってきたのよね」
兄さんは首を横に振って
「桃ちゃんが謝る必要はないよ。
まあ、僕もそんなに気が長い方でもないのでね。
また近々、病院の闇を清算する事にするよ」
兄さんは目で僕に合図を送ってきた。
桃子さんに気付かれないように頷く。
負の遺産が多すぎる病院だ。
ある程度、健全化するまでに時間が掛かりそうだ。
「さて、凛」
桃子さんに遊んでもらってかなりお疲れの凛を抱っこした。
「帰ろう」
凛は大人しく僕に抱かれている。
家に着く頃には熟睡しているかな。