ばくだん凛ちゃん
2.凛ちゃん 1ヶ月

■ ハル ■

それはあまりに突然だった。


「凛の1ヶ月健診は誰か違う先生にして貰うよ」

1月中旬、透は家に帰ってくるなりそんな事を言い出した。
私の頭の中は真っ白になる。
その予約は私がまだ入院中に看護師さんがわざわざ透が乳幼児健診を担当する日に入れてくれたもの。

「…透はイヤなの?」

「イヤと言われたらイヤかも」

透はそれだけ言うと、浴室に向かった。



…何なの。
凛のどこがイヤなの?
夜寝ないから?
お昼もグズグス言ってるから?
私が凛に振り回されているから?
家事もいい加減になっているから?



何なの、透!


凄い足音を鳴らしながら私は浴室へ向かう。

「透!」

名前を叫んでドアを開けた。

「何?慌ただしい」

シャワーを浴びていた透がこちらをチラッと見た。
ま…まるで私。
汚いものでも見るかのような目で見られている。

「私がこんなに頼りないから、そりゃ透に迷惑もかけてるとは思うけど。
でも何なの?凛がそんなに嫌なの?
どうして他の先生なの?
自分の子を診ようと思わないのー?」

最後は浴室に反響しまくる大声で叫んでいた。

透は大きくため息をついて

「もういい?寒いし」

ドアを閉められた。



きっと私。
今、ぽかんとしていると思う。



今まで透と接してきて初めて拒絶された気がした。



…どうしよう。
どうしたらいいんだろう。
< 19 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop