ばくだん凛ちゃん

□ 透 □

− ぷっ! −

キスの最中に太股から聞こえた音。

僕はゆっくりとハルから離れて自分の太股に視線を落とす。

凛…頑張ってるのね。

僕がガックリしているとハルはクスクス笑って

「透、オムツ替えておいてね。
私、ご飯の準備をしてくる」

僕の額にキスをして立ち上がった。

…もう少しだけ、したかったな。
ハルとのキスを。

僕は大きくため息をついて凛のカバーオールの裾を外す。

うん、便の状態は良い。

素早くオムツを替える。

「凛、すっきりした?」

そう聞いてみると凛は大きなあくびをする。

「凛、夜はもう少しだけ時間を僕に頂戴」

凛をギュッと抱きしめて僕は呟いた。

キッチンをチラッと見るとハルと目が合う。
お互い微笑むとそれぞれ目の前の課題に取り掛かる。

ハル→料理

僕→子守り



「お待たせしました」

ダイニングテーブルに料理を並べ終えたハルは僕を呼んだ。

「ありがとう、ハル」

凛をハイローチェアに載せて僕達は久しぶりに夕食を共にした。

いつもなら、もっと遅い時間に帰るからほとんど一緒には食べない。

「いただきます」

「どうぞ」

家族3人でこんな風に過ごせるなんて、本当に幸せだと思う。

2人で過ごした時間も楽しかったけれど3人で過ごせるのもきっと楽しい…。

「うぎゃー!うぎゃー!」

怪獣みたいな泣き声だな、本当に女の子か?

ハルが慌てて抱っこしようとするので僕は制した。

「ハル、毎日大変な思いをしてご飯食べてるでしょ?
僕がいる時くらいはゆっくり食べなよ」

「透のご飯…冷めちゃうわよ?」

ハルの首を傾げた姿が…可愛い。

「いいよ、それくらい」

僕は凛をハイローチェアから抱き上げた。

まだまだ3人で楽しく食事をするのは先になりそうだ。
< 38 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop