ばくだん凛ちゃん
「すみません、お義母さん」

出来るだけ短い時間で家に帰ってきた。

「もう大丈夫なの?」

「はい」

凛はお義母さんの腕の中で心地良さそうに眠っていた。

…私の時は泣きわめくのに。

「今、さっき眠ったからしばらく抱っこしておくわね」

「ありがとうございます」

有り難いけど、複雑だ。

どうして私じゃダメなんだろう。

本当のお母さんは私なのに。

凛は私の事、わかってないんじゃないかしら?

そう思うと自分が闇に墜ちていきそうな気がする。

「…ハルさん」

2時間くらい抱っこして貰って、お義母さんが帰ろうとした時。

「今日良かったら、早めに下にいらっしゃい。
凛ちゃんを連れて。
…何となく、ハルさんを一人にさせられないわ。
でも私、今から少しだけ出掛けないといけないから。
15時には帰ってくるから。
ね、いらっしゃい」

「…はい、ありがとうございます」

私は頭を下げた。



静まり返る家に。

やがて響く凛の泣き声。



泣きたいのはこっちよ、凛。



私は凛を抱っこした。
…可愛いはずなのに。
全然可愛いと思えない。



辛いとしか思えない…。
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