ばくだん凛ちゃん
ハルと一緒にお風呂っていつぶりだろう。

前はまだ凛がお腹にいた頃、しかも切迫早産で入院する前だから…3ヶ月以上経つ。

「まあ、今日は見てて」

僕が凛を抱っこして、洗い始める。

「慣れてるね」

感心してハルが言うと僕は思わずニヤニヤしてしまう。
時間を作って、毎朝病院の新生児室に行き、スタッフがする沐浴を手伝っていた。
中々楽しかったし、色々とスタッフの先輩お母様方の話を聞けて良かった。

普段、僕は病気の事しか担当しないから。

自分が色々と経験する事で悩むお父さんお母さんにもう少し踏み込んだアドバイスが出来たら良いと思うのだ。

「凛とそんなに接していないのにお父さんしてる」

ハルの、ヤキモチか何かわからない言葉が僕に浴びせられた。

「…僕、一応努力しているから」

家に帰ってきたら出来るだけの事はしているし。
凛のお世話も。

ハルみたいに一日中一緒にいる訳ではないから出来るのだと思う。

「はい、終わり」

僕はバスチェアに凛を寝かせるとその隣で自分の体を洗う。

「一人で出来るかなあ」

ハルの不安そうな声を聞いて僕は苦笑い。

「出来るよ。
皆、どうにかこなしているし」

無我夢中で毎日を過ごしていつの間にか子供は大きくなっているのだと思う。



凛はお風呂から上がると勢いよくおっぱいを飲んでいた。
最初は途中で寝たりしていたのにな。
いつの間にか、そんな事もなくなりつつある。

新生児から乳児へ変わっていくこの貴重な時間をホンの少しでも共有出来たのは幸せな事だ。

凛の成長が嬉しい。
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