ばくだん凛ちゃん

▽ 至 ▽

驚いた。

あの、馬鹿な伯父さん連中を素直に退散させるとは。

さすがは透の嫁さん。



「まあ、凛ちゃんが可愛いのは間違いないけどね」

僕は凛ちゃんを抱っこしながら言った。

さっき、お母さんが怒った時にビックリして大泣きしちゃったんだよね。

今はウトウトしている。

「まさかお兄さんもそんなくだらない事を考えているのですか?」

ハルちゃん、それはない。

僕は首を横に振った。

「たまに小児科に行くけど、比べちゃいけないけど凛ちゃんは可愛い部類に入ると思うよ。
新生児の時から顔つきが違ってたし。
一際しっかりとした顔をしている印象だったな」

…透やハルちゃんには言ってないけれど。
江坂先生が凛ちゃんを取り上げた時。

「この子、生まれながらにしてはっきりとした二重ですね。
奥様に似たのかな、そこは。
これからの成長が楽しみですね」

と言っていた。

今回の騒動は凛ちゃんの写真を父さんの兄弟が集まった時に見たんだろうけど、周りが騒いでもおかしくはない。

赤ちゃんモデルが出来る域に凛ちゃんはいる。

「僕は絶対に嫌。
ハルがそうさせたいと言うなら、家を出ていってもらう」

透の発言にハルちゃんは頬を膨らませた。

「私も嫌だわ。
透にそんな風に言われるのもムカつく」

ハルちゃん、黙って透の傍に行くといきなり肩を押した。

「…あなたもあのオジサン達と同罪だわ。
私がそんな事をすると思ってるの?」

おい…こんな所で夫婦喧嘩するなよ。
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