ばくだん凛ちゃん
「はいはい、そこまで~!!」

桃ちゃん、良いタイミングで割り込んでくれた。
ありがとう。

「二人とも、もう止めようよ。
凛ちゃんのお宮参りの日に二人が喧嘩したら可哀想よ。
そもそも、あのバカなオッサン達が悪いんだけどね」

桃ちゃんが返したはずの祝儀袋をひらひらさせていた。

「…桃子さん、なぜそれがここに?」

透の真顔が怖い。

「私に預けて行った。
もう、貰っちゃいなよ~!
ちゃんと断ったんだからいいじゃない」

ノリが軽いなあ、桃ちゃんは。
まあ、僕もいいと思うけどね。
お返しに凛ちゃんの名前入りカステラでも送っとけ。
それだけで大喜びたよ、あの人達。

「それとお義父さん」

桃ちゃんは急に父さんを見つめて険しい顔をした。

「安易にあのオッサン達に写真を見せないでくださいね。
凛ちゃんはお義父さんの兄弟にとっての孫にあたる人物の中で唯一の女の子です。
しかもみんな結構前に結婚しているから赤ちゃんが産まれるのもそうそうない。
あるとしたら慶オジサンの子供くらいでしょ?
親戚の中で貴重な女の子を可愛がると思いますよ。
透さんの事をボロカスに言っても、お義父さんの兄弟って仲間意識が強いですからね。
ましてかわいい子が産まれたら尚更です。
親戚内で誘拐が起こりますよ」

極端だが、まあそれくらいの事をしかねないね。
あの人たち。

「さあ、早く行きましょう」

着物を着た母さんが急かす。

「そうそう、早く美味しいものが食べたいし!!」

桃ちゃん、食べる事には貪欲ですな。
透もハルちゃんもやれやれ、といった様子で準備を始める。

凛ちゃんも穏やかな顔をして寝ている。
今のうちにしっかり寝て写真撮影の時はバッチリ目を開けてよ!
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