ばくだん凛ちゃん

▲ ハル ▲

透が仕事中に電話をしてくるなんて珍しい。

何かあったのかな。



そんな事を考えながらウトウトしている凛の顔を見た。

…え?

顔が赤い。
凛の頬と額を撫でた。
…熱い。

慌てて体温計で熱を計ると38.9度。
副反応が出るかもしれないとは言われていたけれど、どうして良いのかわからない。

透がいれば。
すぐに聞くけれど、今は仕事中。
いくら小児科の夜間診療とはいえ、頼りたくない。
ましてやその夜間救急に行くなんて…出来るわけがない。
凛が苦しそうに呼吸をしている。

あ、そうだ!
お義父さんならわかるかも!

凛を抱いて1階に降りたが電気は付いていない。
もう、寝たみたい。

ガックリ肩を落として家に戻った。

赤ちゃんの、しかもこんな小さい時期の熱なんて…。
大丈夫なのかな?

熱い凛を抱っこしたまま、途方に暮れる。
このまま熱が下がってくれたら良いのに。



夜中1時に39.8度。

凛はグズっては泣き、疲れて大人しくなり、を繰り返す。

あともう少し様子を見て、熱が上がるようなら透に連絡しよう。



そう思った瞬間。
突然、メールが届いた。



「黒谷先生…?」

凛を生む前に病院で入院していた時。
透が指導している後期研修医の黒谷先生と連絡先を交換した。
黒谷先生はカメラが趣味で透の病院での様子を写真で撮ってコッソリ送ってくれた。



でも、こんな時間にどうしたんだろう。
< 56 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop