ばくだん凛ちゃん
「では次は育児相談に行ってください。
…家に専門医がいるなら行く必要はないですけど、一応」

私が退出しようとした時、ハラハラしながら様子を伺ってくれていた看護師さんがクスクス笑いながら次の案内をしてくれる。

お礼を言ってカーテンを開け私は出ていく。

一番左側にいた若林先生はもう全ての診察を終えていたみたいでカーテン全開でのんびりしていたのが見えた。

目がばっちり合って私は足を止めて会釈をすると、若林先生が笑顔を見せて出てきてくれた。

「嫌な先生に当たったね」

若林先生もそう思うんだ。

「…夫や若林先生を見ているのでビックリしました」

自分の感情で言う先生がいるのには本当に驚いた。

ただ。
透が無礼を犯してまでもこちらに来てくれた事が堪らなく嬉しい。

でもね…。

「夫があの先生に反撃したのですが、後々大丈夫ですか?」

これこそ、訳のわからない質問だわ。
若林先生に聞いても仕方がないけれど、聞かずにはいられない。

「別に問題はないと思いますよ。
元々あの先生は内科医ですし。
小児科はオマケですから。
高石先生とそう会う訳じゃないし」

「良かった〜…」

ホッとしたら涙が出てきた。

「…高石先生もだいぶイライラされていたみたいですよ。
隣から聞こえる罵声に。
高石さんより前に診察受けた方もかなり言われていたのが私まで聞こえていましたから。
何人も子供がいるお母さんならまだしも、初めてのお子さんだったらまだまだ慣れなくても仕方がないのに。
それを谷底に突き落としてどうするんでしょうね」

やれやれ、といった様子で若林先生は首を横に振った。
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