ばくだん凛ちゃん
「へえ、春日さんに会ったんだ」
その日は夕方からお兄さんの病院へお手伝いに行った。
お手伝いといっても、それほどの労働なんてしていない。
お兄さんがするチェックを私が代わりにしている感じ。
わからなければお兄さんに聞けばいいだけの事だし。
夕方に行くと夕診で透が入っているし、紺野の当直と重ならない限り、一緒に帰ることが出来る。
隣の保育園が終わったら桃ちゃんも来てくれるし、家族が揃うような感覚で楽しい。
「元気にしてた?」
「はい。
今日、私は初めてお会いしたのに色々とお世話になってしまいました」
そう言うとお兄さんは苦笑いをして
「そう。
また後でお礼も兼ねて連絡入れてみるよ」
と、言って診察室に降りていった。
その後、しばらく入力のチェックをしていたら
「あ〜、凛ちゃん!」
そう言って事務室に入ってきたのは受付の若江さん。
高校を卒業してすぐにここに入ったとの事だった。
就職したかったけれど、在学中には出来ず、何気に見た生駒医院の求人に応募した。
お兄さんが面接したらしく、
「彼女は真っ白だから、医療の事を勉強するには丁度良いと思って」
と穏やかに笑っていたのが印象的だった。
経験者よりも未経験者、しかも高校を卒業してすぐの子を雇うのは一種のリスクだと思う。
自分もそうだったから、よく最初の会社も雇ってくれたな、と今でも思う。
彼女は昔からいた人ではなく、何の派閥もないのですぐに私には打ち解けてくれた。
凛をあやしてから
「ハルさん、これとこれの注文、お願いします」
事務用品などの取りまとめは私がしているので彼女はよく、やってくる。
昔からいてる人は来ない。
それくらい、この病院は中で派閥がある。
お兄さんは時々嘆いているけれど、透は適当にあしらっている感じ。
「はい、わかりました」
彼女からカタログと注文書を受け取った。
「凛ちゃん、またね〜」
手を振って若江さんは部屋を出ていった。
凛はしばらく若江さんを見ていたけれどやがてカーペットの上でおもちゃを振りながらゴロゴロしている。
この部屋も最初は冷たいフローリングだったのに私が手伝いに来ることになって急遽、お兄さんが業者に頼んで土足禁止のカーペット仕様になった。
それが…古くからいる人には腹の立つ事らしくて。
私の存在は無視され続けている。
その日は夕方からお兄さんの病院へお手伝いに行った。
お手伝いといっても、それほどの労働なんてしていない。
お兄さんがするチェックを私が代わりにしている感じ。
わからなければお兄さんに聞けばいいだけの事だし。
夕方に行くと夕診で透が入っているし、紺野の当直と重ならない限り、一緒に帰ることが出来る。
隣の保育園が終わったら桃ちゃんも来てくれるし、家族が揃うような感覚で楽しい。
「元気にしてた?」
「はい。
今日、私は初めてお会いしたのに色々とお世話になってしまいました」
そう言うとお兄さんは苦笑いをして
「そう。
また後でお礼も兼ねて連絡入れてみるよ」
と、言って診察室に降りていった。
その後、しばらく入力のチェックをしていたら
「あ〜、凛ちゃん!」
そう言って事務室に入ってきたのは受付の若江さん。
高校を卒業してすぐにここに入ったとの事だった。
就職したかったけれど、在学中には出来ず、何気に見た生駒医院の求人に応募した。
お兄さんが面接したらしく、
「彼女は真っ白だから、医療の事を勉強するには丁度良いと思って」
と穏やかに笑っていたのが印象的だった。
経験者よりも未経験者、しかも高校を卒業してすぐの子を雇うのは一種のリスクだと思う。
自分もそうだったから、よく最初の会社も雇ってくれたな、と今でも思う。
彼女は昔からいた人ではなく、何の派閥もないのですぐに私には打ち解けてくれた。
凛をあやしてから
「ハルさん、これとこれの注文、お願いします」
事務用品などの取りまとめは私がしているので彼女はよく、やってくる。
昔からいてる人は来ない。
それくらい、この病院は中で派閥がある。
お兄さんは時々嘆いているけれど、透は適当にあしらっている感じ。
「はい、わかりました」
彼女からカタログと注文書を受け取った。
「凛ちゃん、またね〜」
手を振って若江さんは部屋を出ていった。
凛はしばらく若江さんを見ていたけれどやがてカーペットの上でおもちゃを振りながらゴロゴロしている。
この部屋も最初は冷たいフローリングだったのに私が手伝いに来ることになって急遽、お兄さんが業者に頼んで土足禁止のカーペット仕様になった。
それが…古くからいる人には腹の立つ事らしくて。
私の存在は無視され続けている。