大人の初恋
 どうする?
 どうする?

 チェックインを済ませた、シティホテル。

 本当は……私…

 これまでこんな“行きずり”の関係なんて結んだことは無かったんだよぉ!
 だって病気とか怖いしさ?
 フシダラな感じがしたし。


 …ああ見えてアイツ、物凄いどヘンタイだったりして。

 余裕を装いつつも実はガッチガチの私は、ベッドサイドで立ち竦んでしまっていた。

 と、私の意を汲んだかのよう。

 荷物をクロゼットに置いた彼は、私に向かってニコリと微笑みかけた。
 併せて私も引き吊り笑い。

 と、突然に。

 …エエっ‼

 それまで紳士的だった彼は急に私を抱き締めた。

 あっという間に上向かせ、しっとりと唇を重ね始める。
 彼は、形良くしまった唇で柔らかに私のそれを挟みながら、舌先で自然に唇を開かせた。

 角度を変えながらソレが深く絡まってくると、浅ましいことに早くもじわっと濡れはじめている。

「…んっ……シャワーくらい…浴びさせて」

 焦る気持ちをひた隠し、私はかろうじて演技を続けるべく、彼のネクタイを引っ張って、更に深く貪った。
 
「無理だね」
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