大人の初恋
「まさか、君が部下としているなんて、思ってなかった」
彼が弱々しく笑った。
「僕はあの夜のコトを覚えてた。
背伸びした、強がりな君の演技が可笑しくって…本当に久しぶりに、幸せな気持ちになれたから。
これは神様のくれたチャンスだと思ったよ」
やっぱりバレてたんだ、ハズカシイ私の演技。
「けっこう考えて、これでも必死で口説いたんだ。初めて告白した時みたいに勇気がいった」
「うそ」
「本当さ」
彼は少しだけ顔を赤くした。
「思ったとおり、君は理想的な恋人だった。
頭がよくて美しくて、強い意思を持っている。
少しの我儘や高慢も、君らしいスパイスだと思った。
君から連絡があった日には、いつも胸が踊ったよ。もし20台の頃に出会ってたなら、僕は君を崇拝する男の一人になっていただろう」
部長ったら、リップサービスが過ぎる。顔が火照ってしかたない。
でも。
ちょっと待って?
“恋人だった”
何で過去形なんだろうーー
「前に言ったね?僕は水谷さんが苦手だって。彼女と妻は雰囲気が少し似てるんだ」
そうだ。
付き合って間もないころ、彼がふと言ったのを聞いた。
バカな私は『カワイソ』と変な優越感を抱いたものだ。
彼が弱々しく笑った。
「僕はあの夜のコトを覚えてた。
背伸びした、強がりな君の演技が可笑しくって…本当に久しぶりに、幸せな気持ちになれたから。
これは神様のくれたチャンスだと思ったよ」
やっぱりバレてたんだ、ハズカシイ私の演技。
「けっこう考えて、これでも必死で口説いたんだ。初めて告白した時みたいに勇気がいった」
「うそ」
「本当さ」
彼は少しだけ顔を赤くした。
「思ったとおり、君は理想的な恋人だった。
頭がよくて美しくて、強い意思を持っている。
少しの我儘や高慢も、君らしいスパイスだと思った。
君から連絡があった日には、いつも胸が踊ったよ。もし20台の頃に出会ってたなら、僕は君を崇拝する男の一人になっていただろう」
部長ったら、リップサービスが過ぎる。顔が火照ってしかたない。
でも。
ちょっと待って?
“恋人だった”
何で過去形なんだろうーー
「前に言ったね?僕は水谷さんが苦手だって。彼女と妻は雰囲気が少し似てるんだ」
そうだ。
付き合って間もないころ、彼がふと言ったのを聞いた。
バカな私は『カワイソ』と変な優越感を抱いたものだ。