私だけに懐いてください
「ご、ごめん、そこ、退いて」
ロッカーの前でしゃがんでいる私に声をかけてきた男子
「あ、ごめんね」
体を傾けて相手が通れるようにする
「…」
いや、なんで通らないんだよ
もしかしてデブ?
顔を上げてその男子を見てみるが、別に太っているというわけでもない
「これじゃ通れない?」
そういう私に彼の顔はどんどん赤くなっていく
え、どうしたんだろう
「ちょっと梨花!」
美咲が大きな声で私を呼んだ
「なにー?」
「あんた、パンツ見えてるよ!」
「え!あ、今日黒パン履き忘れたんだ!」
「そういう問題じゃないでしょうが!」
廊下から叫ぶ美咲とロッカーから叫ぶ私
クラスのみんなにも丸聞こえだ
教室にいる男子もチラチラ私を見ていて、やっと自分の状況が恥ずかしくなってきた
「ごめんね、名前わかんないけど…変なもの見せちゃって!」
体制を立て直してそう言うと、未だに真っ赤な顔したその男子は廊下へ逃げていった
なんだあいつ、女子のパンツ見ておいて何も言わずに逃げやがって
小島くんとの最初の絡みは、こんな感じだった