南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
「瀬那って、ちゃんと佑麻ちゃんのこと見えてる?」
「は?…なんだよ、さっきから話が全然見えない。」
俺の言葉に"まぁ、いいから聞けよ"なんて、呑気な声がして、コイツは俺を本当に叱る気があるのか?
なんて、不思議に思いながらもその内容が気になって仕方ない俺は、静かに礼央の言葉を待った。
「お前って頭もいいし、要領もいいせいで、昔から何でも卒なくこなすタイプで、ムカつくことに欲しいものも結構簡単に手に入れるタイプだったな…。
だから、人に嫉妬したり…何かを欲したり…悔しいって思う感情にどこか欠けてるとこあったじゃん?」
「……、」
なんだ、コイツ人の家まで来て本人目の前に悪口でも言おうってのかよ。
「そんなお前が、佑麻ちゃんと出逢って変わってくところを…俺はずっと見てきたわけだ。」
礼央は何かを思い出したかのようにってフッと笑いをこぼして、それからまた口を開く。
「佑麻ちゃんが他の男といるの見て嫉妬したり、焦ったり、自分の物にしたいって、欲したり。
俺が知ってる南 瀬那からは想像もつかないくらい、人間らしくなってさ。あー、佑麻ちゃんすげぇなって…思うわけ。」
そこまで言って、また真剣な顔に戻った礼央。
確かに、佑麻のパワーはすごい。
どこまでも追っかけてきて、どこまでも真っ直ぐで、どこまでも大きくて、それでいて温かい。