南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )



アイツが持ってるのは、俺に欠けてるもの。


俺が佑麻に惹かれる理由の一つが、もしかしたらそこなのかもしれない。



「高1からずっと、こんな堅物で、良い所も見当たらないクール気取った野良猫に、」


「お前、俺のこと何だと思ってんだよ。」


「ずっとずっと頑張って片想いしてくれて、……やっと付き合う事になったってのに、滅多に気持ちを言葉にしない。

いや、態度にも出ない。顔にも出ないと来た!挙句、あろう事か中学生にうつつ抜かして佑麻ちゃんを不安にさせる。」


「うつつ抜かしてた訳じゃ、」


「俺が女なら!…絶対、南 瀬那はお断り。」



俺の言葉を遮って力強く放たれたその言葉に、なぜか何も言い返せなくなる。


俺が女だったとしても俺みたいな男を好きなんて…ましてや付き合いたいなんて思わねぇよ。


そんなの、言われなくてもわかってる。


「………、」


「…俺は、お前の親友として、佑麻ちゃんに頭上がんねぇよ。すげぇよ、佑麻ちゃんは。」



「あぁ…。」



礼央の言いたい事が、やっと少しだけ分かってきた。


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