南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
そもそも、顔も良くて…気さくで優しくて、ノリも分かっててスタイルも良くて。
俺が勝てるとこなんて何一つない兄貴に、佑麻を対面させるってのがまず無理。
考えらんねえから。
「乙葉は会ったことあるらしいじゃん!俺も会ってみたい、こんなクール野郎を惚れさせたミラクルガールに…!」
キラキラと目を輝かせて、"な?"と俺に訴える兄貴。
「いいじゃん!私も久しぶりに佑麻さんに会いたい〜!本当のお姉ちゃんみたいに優しくて可愛くて、小動物みたいなんだよ〜、朔(さく)にぃも絶対 気に入ると思う!!」
あんだけ寝ぼけながら食パンをかじっていた乙葉も、なぜか兄貴の話に身を乗り出して参戦して来やがって、どうやら一気に目が覚めたらしい。
…つーか、兄貴に気に入られてたまるか。
「とにかく!アイツにだって予定があるかもしれな──」
「あら〜!!素敵ね、瀬那!お母さん夢なのよ〜!息子の彼女を呼んで手料理振る舞うの♡」
「ちょ、話に割り込んでくんなよ!!」
キッチンから登場した母さんが、さらに話を進めて、もう今日 佑麻を誘えとばかりに見つめてくる。
我が家には誰か俺の話を聞いてくれそうな人はいないのかよ。