南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
──────コンコンコンコン!!!
「「っ、!」」
いきなり鳴り響いたノック音に、私と瀬那はハッとしてお互いの顔を見る。
「瀬那にぃ!!…あの、ごめん!乙葉だけど…」
聞こえてくる乙葉ちゃんの声は少しだけ掠れてて、泣きたいのに我慢してる…そんな感じ。
その声に"はぁ…"とため息を零しながら、私を見下ろす体勢からようやく体を起こし、近くにあったTシャツへと腕を通した瀬那。
まだキスの余韻が抜けない私も続いて起き上がり、ボーッとする頭をぶんぶんと振って、乱れた呼吸を整える。
「なに。」
いつも通りの瀬那の声、
「あの、悪いんだけど…少し佑麻さん借りていい?」
ドアの向こう控えめに尋ねる乙葉ちゃんの声に、瀬那が私へ視線を向けて"どうする?"って顔をするから
"私は大丈夫だよ"って意味を込めて静かに頷いて見せた。
「…じゃ、乙葉 頼むな。」
きっと、瀬那も乙葉ちゃんが泣きそうなことに気付いてるんだ。
彼女の私が言うのもなんだけど、瀬那がお兄ちゃんって…なんだか羨ましい。