南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
「…せ、な……?」
「やっぱ、スキありすぎ。」
耳元で聞こえる、さっきまで電話越しに聞いていた大好きな声。
「な、なんでいるの?」
「…家の前で待ってたら、帰って来るお前に会えるかなって思ったんだけど、お前の方が先歩いてた。」
…な、なるほど。
だから、後ろから……だ、抱きしめられて…!!
〜〜っ、やばい!!夜でよかった!!!
今頃 顔はりんごより赤いよ、絶対!!
瀬那はいつも突然すぎて、私の心の準備はいつもまにあわない。
「…あ、の。もう一つ…って何?」
「あぁ…。」
抱きしめる腕の力が弱まることを知らない。
制服の私と、部活終わりに練習着からジャージへと着替えたらしい瀬那。
2人を包む暗闇と、ぼんやり灯る街頭。
「…佑麻に変な虫が付いたら嫌だから。」
「へ…?」
「危機感は足りないし、おまけに隙だらけだし。ちょっとでも目を離すと、すぐ他に可愛がられてるし。」
「……っ、」
言いながら抱きしめる腕が解けて、向き合うように回転させられる。もう、謎の緊張で体はガチガチ。