南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
「あ、嶋中くん髪に何か付いてる。」
「え?」
私の指摘に頭を軽く振って、糸くずを振り落とす作戦に出た嶋中くん。
「…取れた?」
「ううん、まだ付いてる。」
「えー、まだ付いてんの?…どの辺?」
「あ!取ってあげるから、じっとしてて。」
「っ、」
嶋中くんの目の前で少しだけ背伸びをしながら前髪にちょこんと乗っかるそれを、軽く指先でつまんだ。
あ、これは間違いなく消しゴムのカスだ。
略して"消しカス"
大量に消しゴムを使った私が生み出したであろう、消しカスだ。
「嶋中くん取れたよ。消しカスだった!私 飛ばしちゃったのかも…ごめんね!」
「…っ、」
「…ん?」
「南が心配になるのも分かる気がしてきた。」
「え?」
「いや…こっちの話。ありがとう、森坂。」
「…?こちらこそ、勉強見てくれてありがとう。」
私にニコッと微笑んで、"じゃあ休み明けにまた学校で。"と片手をあげた嶋中くんは綺麗な茜色の空の下を歩いて行く。
瀬那は今、何してるかな。
学校で毎日 会ってたのが嘘みたいに、
────────早く会いたい。