南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
「で?」
原野を追うように歩いて着いたのは、団地裏の公園。
話し始める様子のない原野に、あまり時間を取りたくない俺は切り出す。
「…昨日、私 見ちゃったんです。」
「……何を?」
言おうか、言うまいか迷ってる。
そんな演技にも近い表情で、ウルウルと俺を見つめる原野のにも、やっぱり何も感じないんだよな。
「…昨日、図書館で!」
「……。」
「森坂先輩と、男の人が2人っきりで仲良く勉強してるところを。」
──────ドクン。
そんな原野の言葉を聞いた瞬間、嫌な音を立てて心臓がギュッと苦しくなった。…この感じ、知ってる。
佑麻が俺以外に笑ってたり、
楽しそうに話してたり、
褒めてたり、気にしてたりすると、
いつも襲ってくる、アレ。
「……で?」
「え…?」
大ダメージを喰らう俺を予想していたらしい原野は、拍子抜けとでも言う顔で目を見開く。