南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )



例えそれで原野が傷ついても、
佑麻を泣かせるより、ずっといい。


……って、俺もだいぶ酷い奴だな。



「……そんなに想われて、幸せ者ですね。森坂先輩は。」


「………、」



「自分から他の男にキスしちゃうような尻軽女のどこがいいんですか!」



ボロボロと大粒の涙を流しながら、怒鳴るように叫ぶ原野の言葉に体が一瞬 痺れたように動かなくなった。



「図書館の帰り、森坂先輩…自分から男の人に近寄ってキスしてましたよ?…私ちゃんと見ましたから。

言わないであげようと思ったのに…!南先輩 見る目なさすぎです!」



「っ……、」



必死な原野は、涙で顔をぐちゃぐちゃに濡らしていて、今度は演技にも嘘を付いてるようにも見えない。



もし、それが本当なら相手の男が誰なのか、本当に佑麻からキスしたのか…考えれば考えるほどモヤモヤと黒い感情に飲まれてしまいそうになる。
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