南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )



「だから南先輩も私とキスしちゃえばいいじゃない!そしたら、お互い様だもん。南先輩も森坂先輩を裏切ればいい!」


"ね?"と、俺の腕を握りながら訪ねてくる原野。


でも。
どんなに、原野の話を信じようとしても…



【南くんの事が大好きです!】


【いいの!片思いでも好きだから。】


【瀬那〜!ね、瀬那ってば!聞いてる?】


【今日も瀬那が好きだな〜って♡♡】



それをかき消すように脳裏に浮かぶ佑麻の顔。俺に笑う佑麻も、俺のために泣く佑麻も、怒る佑麻も、嬉しそうな佑麻も。


思い出せばどんな時も、まっすぐ俺だけに向けられてたアイツの言葉を、パワーを、想いを。



「佑麻は、」


「っ、……」


「俺を裏切ったりしない。絶対に。」




俺が信じてやれなくてどうすんだよ。



「なんで……っ、私が見たって、」



「後は佑麻と話すから。もう帰っていい?」



悔しそうに顔を歪めて俺から視線を外した原野は、それっきり口を開くことはなくて、俺は背を向けてゆっくり歩き出す。



俺の出した答えは、間違ってない。


だってアイツ、俺のことすげぇ好きだから。


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