南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
言い終わると同時に、恐怖のあまりギュッと閉じた目を片方だけチラッと開けて瀬那の顔を盗み見ようとした私は、
─────────チュッ
目と鼻の先にあった瀬那との距離が、突然ゼロになったことに、声も出せないまま
「…っ」
瀬那の腕の中に抱きしめられている。
なんだ、今のは。
なんだったんだ…!?
「それだけ?」
「…へ……」
「嶋中と、他になんもない?」
キスには触れない瀬那に、なぜか質問攻めを喰らう私の顔は、絶対にマヌケヅラこの上ないと思う。
でも、もうそんな事 気にする余裕もないくらい、さっきのキスで頭が真っ白で。
「ない!何もないよ!帰り際に、嶋中くんの前髪に付いてた…おそらく私が飛ばしたであろう消しカスを取ってあげたけど、それ以外はなるべく距離を」
「嶋中に自分から近寄ったわけ?」
「…は、はい…あんまり覚えてないけど、多分?」
「…はぁ……そう言うことかよ。」
質問攻めしてきたかと思えば、自分の中で何かが繋がったらしい瀬那は、勝手に自己完結させてしまった。