南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
そうと決まれば、早速
──────ガラッ
「ひぃっ?!」
椅子に上がろうと試みた私は、いきなり進路指導室のドアが開いたことに驚いて勢いよくドアへと視線を向けた。
「ごめん…驚かしちゃった?」
「し、嶋中くん…、び、ビックリした…」
そこに立っていたのは、申し訳なさそうに少しだけ眉を下げて困った顔をする嶋中くん。
「し、嶋中くんも資料取りに来たの?」
嶋中くんは私の質問に答えないまま、ゆっくりと進路指導室へと足を踏み入れ、そのまま後ろ手でドアを閉めた。
「廊下の向こうから、森坂がここに入ってくの見えたから、さ。」
「…へ?」
「ふっ、森坂に会いに来た。」
「な、なんだそりゃ…」
密室に嶋中くんと2人きりと言う状況に、変に胸がドギマギする。
別に何もないのに。
……嶋中くんから漂う優しい雰囲気が、余計に私を息苦しくしていく。
早く、早く瀬那に会いたい…なんて、私はどこまで嶋中くんにとって最悪な女なんだろう。