南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
「あーあ、ムキになっちゃって…」
後ろで嶋中くんの、呆れたような笑いが聞こえて、益々私の闘争心に火をつける。
むぅ〜〜!!
勢いよく椅子に乗って、1番上の段へと手を伸ばせば、やっぱり少しだけ届かない。
ふっ、こんな事だろうと思っていたさ。
私にはまだ取っておきの手段が残っている!
「ったく…危なっかしいな。森坂は。」
脳内では相変わらずアホな独り言を呟き、目で資料をロックオンしていた私は、
私が乗っている椅子を両手でしっかりと抑えてくれたらしい嶋中くんの気配をすぐ側に感じてドクンッと小さく胸が鳴った。
…後ろから抱きしめられてるみたいな気分。
早いとこ、資料取っちゃお。
おーし!!これならどうだ!!!
必殺、背伸び!!!
「…っ、」
届いた。
かすかに資料へ触れるだけの指先、もう少し…もう少し…と背伸びをすると何とか掴む事が出来る。
周りの資料に圧迫されたすみれが丘大学の資料は、『は?無理!俺 こっから出るとかマジ無理!』と、反抗期真っ最中の中学男子のように言う事を聞いてくれない。