南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
『ごめんって、何?
それは昨日の"アレ"を浮気だって肯定するごめん?』
瀬那の口から発された言葉に息が出来なくなった。
……言い訳をするのは、おかしい。
かと言って、私が謝ってしまえば…あの出来事は私が瀬那を裏切った瞬間だと肯定することになってしまうの?って。
胸がはち切れそうだった。
何も言えなくなった私を残して、教室へと歩き出してしまった瀬那を、ただ呆然と見つめるしかなかった。
「佑麻ちゃん?…少し、距離置いてみたら?」
「へっ…?」
もうすぐ掃除が始まる、そんな時間。
周りはガヤガヤとあちこち楽しそうな話題でいっぱいの教室で、私は茉央ちゃんからの言葉に青ざめていく。
「辛いんでしょ?」
「……ん、」
「今感じてるの側にいる辛さは、このまま側にいたって消えてくれないよ?離れて…そこで初めて南くんは佑麻ちゃんと離れてる辛さを知る。
本当に佑麻ちゃんのことを南くんが想ってくれてるなら…距離を置く事なんて、どうってことない試練だよ。」
いつだって、側にいてくれて。
良い時も悪い時も支えてくれて、励ましてくれて、笑わせてくれて、叱ってくれて。
茉央ちゃんがいなかったら、今の私はない。
でも、瀬那と距離を置く。
それが、今の私には=別れを指しているようにしか思えなくて、茉央ちゃんのアドバイスにも素直に頷けない。