南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
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「えー?もう教室でちゃったの?」
放課後は思いのほか早くやってきて、ちょっと担任に雑用を頼まれてしまった私が教室へ戻った時には
「うん、ついさっき……な?」
「うっす、なんか瀬那っち機嫌悪そうだったけど2人喧嘩でもしてるの?」
ちょうど教室を出るところだった宮坂くんと山田を捕まえた私が瀬那について尋ねれば、やっぱり空気の読めない山田が痛いところを突いてくる。
「ばっ、」
バツの悪そうな宮坂くんが、軽く山田の頭を叩きながら、空気を読めとオーラで伝えているのを見て、思わず笑ってしまう。
「また、瀬那のこと怒らせちゃって…へへ。これからもう1回、謝りに行くんだ。」
ヘラヘラっと笑う私に、何かを察したような宮坂くんは
「多分、間に合うよ。さっき教室でたばっかりだから。」
そう言って、笑って。
それから"頑張って"と、背中を押してくれた。
「ありがとう。頑張ってくる!」
"え?何?何の話?え…!"と、1人だけ話の分かっていないらしい山田を残して私は駆け出す。
大好きな、あの背中を探して。