南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
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「ハァ…ハァ……」
生徒玄関を抜けて校門前、走って乱れた息を整えながら瀬那を探しても、見当たらない。
もう帰っちゃった?
それとも、まだ校内にいたのかな?
薄ら滲んでくる涙が、瀬那との関係に不安を感じている証拠。本当はこのまま仲直り出来なかったらどうしようって、そんなことばかり頭に浮かんで怖いんだ。
絶対に離れたくない。
そう思う気持ちとは裏腹に
瀬那のために別れよう。
そう思ってしまう自分もどこかにいる。
私と別れたら、瀬那は好きな進路に進めるし、面倒くさい私の相手をしなくても済むし、休みの日だって家でのんびり出来る。
私が瀬那にしてあげられることなんて、全然なくて。一緒にいるメリットなんて、思い付かないんだ。
私がいることで、瀬那にとっての面倒事が増えるだけならいっそ別れてあげることが、私が瀬那のために出来る唯一の事なのかもしれない。
そう、思ってしまう。
「瀬那……」
ポツリ呟いてみても、その声は瀬那には届かない。虚しく空に消えていくだけ。
「あ、森坂先輩…。お久しぶりです。」
一瞬で背筋が凍る。
「……紗菜ちゃん。」
校門前に立っていた私の後ろに立って、にこりと微笑む笑顔はやっぱり可愛いのに
「南先輩と、まだ別れてないんですか?」
その目の奥は、全然 笑ってなんかないの。