南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
「勘違い。バカみたい。幸せ者ね?森坂先輩は。」
「っ、」
「あ〜、南先輩が可哀想。絶対 私の方が南先輩を満足させられるのになぁ。」
ムカつく。
ムカつく、ムカつく。
何で、赤の他人にここまで言われなくちゃいけないのよ。瀬那と私のことをこれ以上、ほじくり回さないで。
私の中の黒いモヤモヤが私をどんどん覆い尽くしていく。
どうして、そっとしておいて欲しい…そんな時に限って紗菜ちゃんは現れるんだろう。
「…っ、いい加減にしてよ!!!」
───────ドンッ
「キャッ…!いった、」
「あっ…!」
気づけば、勢いに任せて紗菜ちゃんを突き飛ばしていた。
思い切り転んだ紗菜ちゃんは、手のひらから血が滲んでいて、それを見た私は気が動転して言葉も出てこない。
ケガさせちゃった。
相手は中学生なのに、大人気なく突き飛ばしたりなんかして、どうしちゃったの私。
「紗菜ちゃん……ごめ、」
慌てて駆け寄ろうとした私は、私よりも早く紗菜ちゃんへと駆け寄ったその人に再び固まる。
「…南先輩!」
「原野、大丈夫か?…佑麻、ケガさせるなんてどうかしてるぞ!お前 少し冷静になれよ!」
それは紛れもなく、私の大好きな人で。
その厳しい言葉は私に向けられたもの。