南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
「この前の…この前のことなんだけどね!」
「……。」
ギュッと手に力を込めて、出来るだけ瀬那の目を見て、
「…瀬那は私に、誰が好きなのって言ったけど、」
『分かるでしょ?』…違う。
『伝わってないの?』…違う。
そんなひねくれた可愛げのない言葉を伝えるために、瀬那に来てもらったんじゃない。
「言ったけど…なに?」
今日の瀬那は、怒っているわけでもない。
悲しそうなわけでも、嬉しそうなわけでも、楽しそうなわけでもない。
私に何も悟られないように、ずーっとポーカーフェイス。
「……私は、瀬那が好きだよ。」
そんな瀬那に、私は素直にぶつかるって決めた。
だってやっぱり、この気持ちは揺るがなかったから。
どんなに瀬那との関係がギクシャクしても、瀬那の思ってることが分からなくても。
それでも私の中の【南 瀬那】は、誰よりも何よりも愛しくって、かけがえのない存在だってことに変わりなかった。