南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
全部、全部。
ただ瀬那が好きなだけなのに、なんで空回っちゃうのかな。
涙が止まらない。
こんなにも自分勝手に感情をぶつけて泣いてしまうなんて、私、付き合ってから今日まで考えてみれば瀬那を困らせてばかりだ。
「…聞くけど、」
ただ静かに聞いていた瀬那が、ゆっくりと口を開いた時、私の目からまた涙が溢れた。
「お前が俺を好きなのも、たまたま転んだお前に声を掛けたのが俺だったから?もしそれが嶋中だったら、お前は嶋中を好きになったわけ?さっきからお前が俺に言ってるのは、そういうレベルの話だけど。」
「私は…、」
言われて考える。確かに、確かにそうだ。私が瀬那に言ってることはそういうレベルのくだらない話。
でも違うの!私バカだからどう伝えたらいいのか、普段は猪突猛進なくせに…こんな時に限って分からなくて。
正論を返して欲しいんじゃない。不安で仕方ないこの胸の中の黒いモヤモヤを、ギュッて抱きしめて消して欲しかった。
ただ、それだけだったのに。
「…佑麻…よく考えろ。俺らはお互い受験生で、これからもっと忙しくなる。」
「………そんなの分かってる、」
「今よりずっと、会える日も減るし…すれ違いも多くなる。でも、」
「……瀬那。」
「………なに。」
もう限界だ。
私、もう頑張れない。
恋は頑張るものじゃないって、誰かが言ってた。
「……別れよう。」
じゃあ、どうすれば幸せになれるの?