南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )




「…嶋中。」



そんな私の焦りに気付いているのか、いないのか。
突然、嶋中くんへと声をかけた瀬那に内心気が気じゃない。



「なに。」



そんな瀬那に、いつも通りのトーンで返事をした嶋中くん。



嶋中くんが進路の事で先生に呼ばれちゃって、その間に前から気になってた明の星学院大学の資料を読みに行くことに決めた。


嶋中くんに『教室で待ってて』って、言われてたのスッカリ忘れてた。



「…ちょうど良かった。話がある。」


「…なに?」



さっきよりもワントーン下がった嶋中くんの声色に、ハラハラ感が募るのは私1人だけなんだろうな。


今にも喧嘩が始まりそうな2人の空気に、慌てて間に入ろうとした私は


「今までありがとな。」


「………え、」



『ありがとう』と嶋中くんに頭を下げる瀬那にビックリし過ぎて拍子抜けしてしまった。


だって、瀬那だよ!!?

何かにつけて嶋中くんと言い争って来た瀬那が、深々と嶋中くんに頭を下げてお礼を伝えてる…なんて




「…なに?どうしたんだよ。」




ほら、嶋中くんビックリしすぎて目を見開いちゃってるよ。

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