南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
ぞろぞろと帰っていく中学生を見送りながら、
「あ、瀬那。」
大好きな後ろ姿を発見した。
黒髪の、長身。
笑うと出来るエクボ。
人懐っこそうな要素満点のくせに、実は超絶クールで。
スラッとした体には、実は程よく筋肉がついてて。どこからそんな力が?ってくらい
強く強く私を抱きしめてくれる大好きな人。
「お〜〜い、せ「南先輩!!」
ん?!
んんんん?!
…私の瀬那へのラブコールを遮って、瀬那の元へと駆け寄る1人の女の子。
セーラー服姿が中学生だってことを物語っていて、横顔しか見えないその子が、さっき…瀬那の班にいたあの綺麗な子だってことは…嫌でも分かった。
「なに。」
相変わらず、誰に対しても基本冷たい瀬那の声。その声に、こんなにも胸がホッとするのはなんで?
私と瀬那とその子。
この3人の時間だけが止まったみたいに…ううん、私の時間だけが止まったみたいに
周りの音が何も聞こえなくなって
やけに鮮明に…
「南先輩、好きになっちゃいました!」
その言葉だけが、私の鼓膜を振るわせた。
ドッドっドッド……
胸のあたりがモヤモヤして、ズンと重たくなって、それで涙が出そうになる。