南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
こんな感情知らない。
…なにこれ。
今まで、どんなに瀬那がモテモテだって…どんなに告白されてたって…こんな気持ちになった事は一度もなかったのに。
「だ、ダメダメダメ!!!!」
気づけば全力で走ってて、
乱れる呼吸なんてお構い無しに、瀬那の手を握りしめながら叫んでた。
「…………だって、さ。」
私の必死さに、笑いを堪えているらしい瀬那がその子に向かってそれだけ呟いて
────ギュッ
「っ、!」
私の手を握り返してくれる。
それだけで、あんなにも不安になってた心がすぐに満たされていくのを感じるから…やっぱり瀬那はすごい。
「……森坂先輩…でしたっけ?南先輩はこの人のどこが好きなんですか?」
瀬那に対して、一切 諦めの色を見せないこの子に、ゾクッと背筋に冷たいものを感じて
「何でお前に教えなくちゃなんないわけ。」
相も変わらず冷たい瀬那に、またホッとする。