南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )


「南先輩から、森坂先輩が好き…なんて一言も聞かされてないし。さっき好きなとこ聞いた時も、ほんとうは…答えたくないんじゃなくて、答えられなかっただけだったりして!」



「っ、……」



どこまでも言いたい放題な彼女に言い返したい、のに



私の言葉なんかじゃ、もう何を言っても無駄な抵抗にしかならなくて。


ギュッと瀬那の手を握る手に力を込めるけど、



「…アホくさい。…もう俺戻る。」


「え、ちょ…!」



瀬那がその手を握り返してくれることも、私のことを好きだって、確信的な言葉をくれることもなかった。



「南先輩!私、本気ですから。藤咲中学3年、原野 紗菜(はらの すずな)…覚悟してください。」



歩き出した瀬那を呼び止め、不敵に笑う紗菜ちゃんを見て思う。



絶対、瀬那だけは譲らない!!!


でも、私の瀬那への気持ちはやっぱり…付き合ってる今も尚、一方通行なのかな?



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