南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
第5話
「森坂、そんな不安そうな顔すんな。」
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「にしても、びっくりした。…まさか、2人の待ち合わせ場所も知らないし、どこの本屋に行くのかも聞いてない…とはね。」
「ご、ごめんね!!」
土曜日の朝。
隣には私服姿の嶋中くんがいる。
結局、私のワガママを『いいよ、暇だし』なんて快くOKしてくれた嶋中くん。
今日、私は嶋中くんと一緒に瀬那と紗菜ちゃんの尾行をする…んだけど、
瀬那を拒絶してしまった後から、喧嘩…と言うか、お互い気まずい雰囲気が続いて、結局 1度も口もきかず…LINEも電話もしてなくて。
……その間も、瀬那の帰りを待ち伏せてる紗菜ちゃんと瀬那の距離は縮まるばかり。
結果、2人の待ち合わせ場所も待ち合わせ時間も、参考書を買いに行くであろう本屋さんも何一つ聞けないまま時間だけが過ぎてしまった。
「ま、いいけどね。探偵みたいで楽しい。」
フッと笑って周りをキョロキョロ確認する嶋中くんは、学校にいる時よりもどこか少し子供っぽくて
なんだか、嶋中くんの新しい1面を見つけた気分。