南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
「あ、あれ…南じゃない?」
「へ?!…どこ!?」
『どこで待ち合わせか分からないなら、ありきたりだけど、とりあえず駅前で張り込んでみる?』
って言う嶋中くんのアイディアで、駅前に張り込んでいた私達の目の前に、Tシャツにダメージジーンズ姿の瀬那が現れた。
7月の風が瀬那の柔らかそうな髪をサラサラとなびかせて、あ〜…今すぐその胸に飛び込みたい衝動に駆られる。
只今の時刻、10時50分。
きっと待ち合わせは11時なのかな。
…なんだ、私とのデート以外でもやっぱり、先に待ってるんだね。…私とのデートが楽しみすぎて…ってわけじゃないんだ。
なんて、考えてみたら時間前に待っててくれるのは、常識的に考えて普通のことなのに
なにかにつけて、紗菜ちゃんと競ってしまう。
「…し、しっかりしろ!佑麻!!」
自分の頬をぺちぺちと叩いて、自分で自分に気合いを入れれば、少しだけ気持ちが楽になった。
「森坂って、本当…見てて飽きないのな。」
「へ?!……そう、かな。」
嶋中くんは笑ってるけど、"面白い"なんて、女子には失礼なんじゃないかと思うんだけど。