南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
「こ、来ないね…。」
「好きでもない女にこんな待たされたら…俺なら帰る。」
「だ…だよね…。」
あれから軽く30分が経過して、スマホのディスプレイには11時20分と表示されている。
紗菜ちゃん、全然来ない。
時計を気にしながらも、瀬那はまだ紗菜ちゃんを待っていて、その仕草がまた私の心をギュッと締め付ける。
「瀬那のバカ。」
「森坂、そんな不安そうな顔すんな。」
ポロッと零れた私の言葉に、嶋中くんが静かに私の頭をポンポンと優しく撫でてくれるから
「……もう……しんどいよ。」
つられて、私も静かに本音を零してしまう。
「俺も。……今、森坂の顔みてんのしんどいから、一緒だな。」
ポンッと頭に乗せられた嶋中くんの手は、遠慮がちで…だけどなぜかグッと胸に熱いものが流れ込んでくる。
「…し、…嶋中くんって、私のこと…その、」
ずっと、聞きたくて聞けなかった事。
聞いたらまた、もしかしたら嶋中くんを傷付けることになってしまう。だって、私は何があっても瀬那が好きだから。
自惚れんなって、笑ってくれたら楽だけど
「…あの時からずっと、俺は森坂しか見てねぇよ。」
そう、上手く行かないってことを…馬鹿な私もやっと最近 少しだけ理解したところだ。