南くんの彼女 ( 七 転 八 起 ⁉︎ )
「……。」
「あれ?いつもみたいに"私の瀬那から離れて〜"って、バカみたいなアレ、言わないんですか?」
私のマネをしているらしい紗菜ちゃんを、どこか冷めた私が冷静に見ていて
紗菜ちゃんの可愛い要素を1つも見いだせない自分が悪いかのような気さえしてくるんだから不思議だ。
紗菜ちゃんの腕は、まだ瀬那の腕へと巻きついたまま。それを振り払う気配のない瀬那にも、いい加減うんざりした。
あー、来なきゃ良かった。
そしたら、モヤモヤしたかもしれないけど、きっとこんな惨めな思いをすることはなかったな。
……紗菜ちゃんの言う通りだ。
彼女なのに、ちっとも自信がなくて…こんな、尾行までして
「嶋中くん…」
「ん?」
「……帰ろっか。」
嶋中くんまで巻き込んで、何やってんだ私。
「邪魔して、ごめん。もう、帰るから。」
本当に、いくつになっても…森坂佑麻には成長が見られないなぁ。
「ったく、バカ。…帰るぞ。」
「…へ……!ちょ、」