恋するライバル
「あちーー」
電車を降りてものの3分で、汗が頬を伝う。
駅から学校はすぐ近くだけど、
一刻も早く教室に入りたい。
「ねぇ、麻友…合併が本当だったらどうしよう…?
合併する相手の学校ってね、」
そう言って私の隣に並ぶ紗央莉。
その時、
紗央莉のすぐ横を、近所の別の高校の男子が走り抜けて行った。
「きゃ…」
通り過ぎる瞬間、
ぶつかりそうになった紗央莉の肩を、咄嗟に私の方に引き寄せる。
「おっと、危ないなぁ…」
普段、女子高だからか、
男子高校生ってのを、すごく乱暴に感じてしまう。
「ありがと、麻友」
「大丈夫?」
「うん」
平気な風を装って、笑っているけど、
紗央莉は私よりももっと男子の乱暴さを怖く思っているはずだ。
「隣の男子校の生徒だよね、相変わらず乱暴なんだから…」
うちの女子高と背中合わせに立つように、そこには男子校がある。
学力レベル的にも同じくらいだけど、立地のせいか、昔から仲が悪いらしい。
隣だっていうのに、交流はほぼ無い。
「……あのね、
合併するって噂なのってね、あの男子校なんだよ」